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COLUMN

京都の象徴、大文字山と一体化した話。〜中編〜

2024.8.25

あれは、遭難だったのか。それとも…

自分の歩いて来た道を完全に見失う。

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大文字山の山頂から「大」の文字まで戻る時…
 
私はただ単純に「歩いて来た道を戻ればいい」
と、安易に考えていました。
 
その「歩いて来た道」を見失うとも知らずに…
 
なんだか J-POP の歌詞みたいなことを言っていますが。
 
大文字山の大より上は、本当にただの山であり、
そもそも道という概念が存在していないのです。
 
その上、私を迷わせた元凶が、このピンクの印。

 

大文字山


この印を見た時、私は勝手に
このピンク色を目印に進んで行けば
元の場所に戻れると解釈してしまったんです…
 
しかし、それはただの思い込み。
 
実は、この印、登山マニア達が
自分の開拓した道をわかりやすくするために
ただ好き勝手につけていたものだったんです。
 
そうとも知らずに、この目印を辿って…
 
山の中を、ひたすら駆け降りること数十分。
 
なにかがおかしい…。
 
胸がザワザワして来たものの、気付いた時には
右も森、左も森、前も森、後ろも森。
 
どちらを向いても同じような景色…
 
この恐ろしさをちょっと想像してみてください。
 
あなたは、かまいたちの夜を
プレイしたことがありますか?
 
スーパーファミコンの、名作ホラー小説ゲーム
かまいたちの夜をプレイしていると
冒頭の方で雪山の中を彷徨うシーンがあります。
 
右へ進む、左へ進む、前へ進む、後ろへ進む…
 
どのコマンドを入力しても
同じ景色がループしてしまうという
トラウマ級のくだりがあるのですが…
 
あの時、私はそのシーンを思い出しました。

 

絶望の淵に届けられた、微かな希望。

そんな時、突如、目の前に小さな看板が。
 
「孫熊山三叉路」
 
手書きで小さくそう書かれた看板の前で
恐怖に襲われた私は、半泣きギブアップ。

 

大文字山


大の中央で待つ母に、電話を掛けました。
 
今思うと…
スマホの電波が通じたことも
スマホが充電できていたことも
全てが奇跡であるように感じます。
 
「帰り方がわからなくなっちゃったかも…」
 
母にそう伝えると
うろたえる母の向こうで、何やら話し声が。
 
そして、母の声は突然
力強い男性の声に変わりました。
 
「看板になんて書いてある!?」
「そこから一歩も動くんじゃないよ」
「救助に向かうからとにかく動かないで」

 

(続く)後編へ
 

sunawamakiさん
written by『sunawa』

WhateverShimogamo にある占いサロン『或庭』の鑑定師で、Whatever のメディアパートナー。電子音楽系ミュージシャン『sunawamaki』として、楽曲の配信も行っている。お笑いが好きで、NSCに入学したことも。お気に入りは、ゼルダの伝説、Bjork、チーズケーキ。

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